軍艦島 来春には「上陸許可」、桟橋や通路など整備進む

報道陣に公開された端島(14日午前9時54分、長崎市で)=大野博昭撮影

 世界文化遺産の国内候補地に認められ、長崎市が観光資源として活用を目指している無人島の端島(はしま)(通称・軍艦島)が14日、報道陣に公開された。市が約1億500万円をかけて整備を進めている桟橋や見学用通路、1916年に完成した国内初の鉄筋高層アパートなどを市職員らが案内した。

 端島は、長崎港沖約19キロにあり、周囲1.2キロ。明治から昭和にかけ、石炭が採掘された。林立するアパート群と塀に囲まれた島影が軍艦「土佐」に似ていることから、軍艦島と呼ばれるようになったという。60年には5267人がいたが、炭鉱の閉山に伴って74年に無人となった。

 報道陣は、島南部の護岸沿いで約200メートルにわたって整備が進められている見学用通路や、風雨にさらされ鉄骨がむきだしになった高層アパートなどを見て回った。

 現在、島には原則入れないが、来春以降、観光客が上陸できるようになる。

2008年11月14日  読売新聞)

軍艦島上陸ルポ 無人34年 今も残る「生活」

廃虚となった小中学校と運動場
アパートの室内にはウイスキーの瓶が残されていた

 窓ガラスや壁がなくなったアパートの一室。台所にはしょうゆ差しやウイスキーの瓶が並び、奥にはひび割れした洗濯機がポツンと残されていた。長崎市沖に浮かぶ孤島・端島(通称・軍艦島)。炭鉱が閉山され、人々が島を離れて34年たった今も、生活のしるしが確かに刻まれていた。(寺垣はるか)

 市が報道陣に島を公開した14日、約3時間かけて島を1周した。

 端島小中学校入り口横の部屋には、真っ茶色にさびた湯たんぽが一つ。病院1階の床には所々割れた手術室の照明、アパートのベランダにはテレビのブラウン管――。5000人を超える人々の活気に満ちた暮らしが目に浮かぶ。一方で、不要な物を置き去りにした人間の利己的な一面も頭をかすめた。

 「危ないっ」。階段を上り、高台の端島神社を目指す途中、案内役の市世界遺産推進室・長瀬雅彦係長(44)が大声を上げた。アパート同士をつなぐ渡り廊下に約10人が足を踏み入れていたからだ。廊下を支えていた柱の表面はコンクリートが無残にもはがれ落ちていた。崩壊が進み、危険が潜む島の現実を実感し、ぞっとした。

 島南部では、来春以降の観光客上陸に向け、市が約200メートルの見学用通路などを整備している。幅2メートルの真っ白な通路。約100メートルが出来上がっていた。

 「九州・山口の近代化産業遺産群」の一つとして、世界遺産国内候補地に追加されることが決まった軍艦島。長瀬係長は「島が果たした役割とそれを支えた家族の営みが凝縮された都市空間。その延長に今の豊かさがあることに気付いてもらえるのでは」と語る。

 真新しい舗装の上からは、日本初の鉄筋高層アパートがのぞめる。激しい風雨にさらされ、鉄筋をむき出しにしながらも、92年間じっと立ち続けている。繁栄の象徴から一転、エネルギー転換の波に翻弄(ほんろう)された灰色の姿は、発展を追い求める社会の功罪を問いかけている気がした。

2008年11月15日  読売新聞)


軍艦島を報道公開 世界遺産候補入り 長崎市は来春上陸解禁へ

2008年11月15日

 長崎市沖に浮かぶ端島(通称・軍艦島)が「九州・山口の近代化産業遺産群」の1つとして世界遺産国内候補の暫定リスト入りしたことを受け、同市は14日、立ち入りを規制している島を報道陣に公開した。

 炭鉱の島として栄え、広さ約6・3ヘクタール。1974年の閉山で無人化した。島を所有・管理する市は昨年、観光客が上陸できるよう計画。約1億500万円をかけ、今年8月、桟橋や遊歩道などの整備に着手し、来年4月下旬に上陸を解禁する予定で工事を進めている。

 報道陣は16年に建設され、廃虚と化した日本初の鉄筋コンクリート高層住宅などを見て回った。建物には机や冷蔵庫などが残ったままになっており、市は特に保存工事は施さず風化していく過程を観光客に見せる方針という。案内に立った同市世界遺産推進室の長瀬雅彦係長は「訪れる人たちに島の炭鉱で働いた人や家族の暮らしぶり、息遣いが伝わるように工夫したい」と話した。

=2008/11/14 西日本新聞=

来春の一般見学開始を前に見学路などが整備され、報道陣に公開された軍艦島(端島)=14日、長崎市高島町


】“軍艦島”上陸観光へ整備進む 報道陣に公開

 長崎市は十四日、来年四月以降の上陸観光に向け整備中の端島(同市高島町、通称・軍艦島)を報道陣に公開した。

 端島は一八九〇年、三菱による炭鉱の本格操業以来、炭鉱の島として栄え、日本の近代化を支えた。一九七四年一月に閉山し、三カ月後に無人化。二〇〇五年の市町村合併以降は長崎市が管理し、現在は上陸禁止されている。今年九月には、端島内の「端島炭坑」を含む「九州・山口の近代化産業遺産群」が世界遺産候補に選ばれた。

 市は、端島を観光資源として活用するため、上陸用施設の桟橋と島内に二百十六メートルの見学通路を整備している。

 見学通路からは、一九一六年に建てられた日本最初の高層鉄筋アパートとされる「三十号棟」や端島小中学校、石炭を石炭運搬船に積み込むための「貯炭ベルトコンベヤー」の支柱などが見学可能。島内は木材やコンクリート、ガラスなどが至る所に散乱し、上陸可能後も、安全確保のため見学通路以外への進入は禁止される。

 =長崎新聞 11月15日朝刊=