西日本新聞 12月1日 朝刊より
経済産業省は30日、幕末から終戦にかけて日本の産業発展に貢献した歴史的な工場跡や港湾、鉱山などを「近代化産業遺産」に認定、鹿児島市の「旧集成館」や大口市の「旧曽木第二発電所」、霧島市の「嘉例川駅」や「大隅横川駅」など県内9件を含む575件を選んだと発表した。44都道府県とほぼ全国にまたがり、観光コースに利用したり、地域活性化に向けたアイデアづくりへの活用などが期待されている。
 産業遺産は、文化財などとは別の「国内産業への貢献」という観点から専門家が選定。テーマごとに33の遺産群にまとめた。経産省は今後、遺産紹介の冊子を全国自治体に配布するほか、各地に遺産を活用・保存する組織を設けてもらい、専門家を派遣しビジネスモデルづくりの支援などをする。
 鹿児島県内でリスト入りした9件は、多くが国の指定・登録文化財だ。すでに地域活性化に利用されているものもあるが、集成館事業に関する遺産の認定で、鹿児島県・市など6県8市ですすめる「九州・山口の近代化産業遺産群」の世界遺産登録への住民意識が高まることを期待する声が大きい。
大鶴湖の水位が下がると姿を現す旧曽木第二発電所=2003年6月、大口市宮人

 県企画課の佐々木克之課長は「世界遺産登録への取り組みは現在、行政中心だが、今後は地元の盛り上がりが必要となる。今回の認定は世界遺産登録と直接関係はないが、国から価値を認めてもらい、ありがたい。県民の近代化遺産に対する関心を高める契機になり、登録への機運が醸成されれば」と期待を寄せた。
 県の委託を受けた事業「みんなの産業遺産」で、市民向けの講演会や見学会を開催しているかごしま探検の会(鹿児島市)の東川美和事務局長は「産業遺産の中には、いまでも地域で利用され風景に溶け込んでいるものも多い。認定されなかった身近な産業遺産にも目を向けるきっかけとなれば」と話した。
 
 南日本新聞より